2026-07-17 / 読了 7分
直販チャネル、過去最大案件、中立化された基盤、そして二次流通市場——現在のST市場を構成する部品は、ほぼすべて2023年に出揃った。収録19銘柄・約447億円。本稿は2026年7月に、当サイトの収録データ(一次資料由来)と公表資料をもとに回顧として執筆した記録である。
3月にはみずほ証券・丸紅AM・BOOSTRYが、丸紅私募リート投資口を裏付けとする国内初の私募STを実施し、プロ向けの道を開いた。5月には三井物産DAMが個人向けサービス「ALTERNA(オルタナ)」を開始。証券会社の店頭を介さず、スマホで10万円からSTを買える直販チャネルの登場は、販売構造そのものの多様化だった。
当サイト収録ベースで2023年は19銘柄・判明発行額約447億円。KDX・三井物産DAM・トーセイ・いちごと発行体の顔ぶれが揃い、「毎月どこかが募集している」市場になった。
8月30日、東京都心の超高層レジデンスを対象とする公募ST(月島)が134億円で発行完了。国内過去最大を大きく更新し、機関投資家グレードの物件がSTで捌ける実証になった。
9月11日には三菱UFJ信託・みずほ信託・三井住友信託・SMFGらが「株式会社Progmat」の設立を発表(10月営業開始)。1行の内製基盤だったProgmatが、信託業界+市場インフラ勢の共同出資会社として中立化されたことで、「どの信託銀行の案件でも同じ基盤に乗る」共通インフラの地位が固まった。
そして年末、ODXのST二次流通市場「START」が売買を開始した。上場第1号はいちごのレジデンストークン。発行から2年半、ようやく「売る場所」が生まれ、ST市場は発行・流通の両輪を持つ市場になった——取引の厚みという次の課題とともに。
本記事は制度・実務の一般的な解説であり、特定銘柄の推奨・投資助言ではありません。個別の税務判断は税理士等の専門家にご確認ください。