投資家向け不動産STの損は何と相殺できるか——損益通算と3年繰越、そして償還損・元本払戻し損の扱い
公開 2026-08-24 / 読了 13分
公募の不動産STで出た損は、上場株式やJ-REITの売却益、そしてST自身の分配金と相殺できる。ただし相殺できるのは「上場株式等」という箱の中だけで、給与や不動産所得とはぶつけられない。売却損だけでなく償還損も、さらに「売っていないのに出る」元本払戻しのみなし譲渡損も対象になる——その根拠を条文で追い、受託者自身が公表した計算例で確かめる。引き切れない分を3年繰り越すための手続きと、住民税がそれにどう連動するかまで整理する。
まず3つの言葉——損益通算・繰越控除・上場株式等
投資で損が出たとき、「他の利益と相殺して税金を減らせないか」と考えるのは自然なことである。制度としては用意されている。ただし、何と何を相殺してよいかは法律が細かく決めていて、思ったほど自由ではない。
本稿で扱うのは2つの制度である。ひとつは、その年のうちに損と利益をぶつける「損益通算」。もうひとつは、その年に引き切れなかった損を翌年以後に持ち越す「繰越控除」。租税特別措置法では、この2つがまとめて第37条の12の2「上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除」という一つの条文に置かれている。
そして3つめの言葉が「上場株式等」である。これは税法だけで使われる区分で、日常語の「上場している」とは範囲が違う。公募の不動産STの主流である受益証券発行信託型は、STARTに上場していなくても、措置法第37条の11第2項第3号の2により上場株式等に当たる。根拠は上場ではなく公募であることで、この点は別稿『特定口座で不動産STは買えるのか——入口は3つだけ、分配金はもう1枚の届出、NISAは対象外』で条文をたどった。
まずこの3語を、順番に押さえておきたい。
① 損益通算損と利益をぶつけて相殺すること
ある取引で出た損を、別の取引で出た利益から差し引いて、税金のかかる金額を小さくする手続きが損益通算である。ただし、何と何をぶつけてよいかは法律で決まっていて、好きな所得同士を自由に相殺できるわけではない。所得税法第69条第1項は、そもそも通算に回せる損失を不動産所得・事業所得・山林所得・譲渡所得の4つに限っている。
② 繰越控除引き切れなかった損を翌年以降に持ち越すこと
その年の利益より損のほうが大きいと、引き切れない分が残る。これを翌年以後3年間持ち越して、将来の利益から引けるようにするのが繰越控除である(租税特別措置法第37条の12の2第5項は「その年の前年以前三年内の各年において生じた」損失と定める)。持ち越すには、損が出た年から毎年、確定申告を続けなければならない(同条第7項)。
③ 上場株式等税法だけの言葉で、上場していなくても入る
この2つの制度は、「上場株式等」という税法上の区分の中でだけ働く。公募で募集された特定受益証券発行信託の受益権——公募の不動産STの主流である受益証券発行信託型は、措置法第37条の11第2項第3号の2によりここに入る。根拠は「上場していること」ではなく「公募であること」なので、STARTに上場していない銘柄も上場株式等である。詳しくは別稿『特定口座で不動産STは買えるのか』で扱った。
図: 本稿で使う3つの言葉。上から順に、①損と利益をぶつける ②引き切れない分を翌年へ送る ③どの範囲でそれができるかと読む。①②はセットの制度で、条文の名前も「上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除」(措置法第37条の12の2)という一つの見出しにまとまっている。出所は所得税法第69条第1項、租税特別措置法第37条の11第2項第3号の2・第37条の12の2第5項・第7項(e-Gov法令検索・2026年8月24日確認)。本図は制度の説明であり、特定銘柄の推奨・勧誘や税務助言ではない。STの損はどの箱の中にいるか——4つの箱と、またげない壁
損益通算の話は、「どの箱に入っているか」を確かめるところから始まる。
措置法第37条の11第1項は、上場株式等の譲渡による所得を他の所得と区分して15%(復興特別所得税と住民税を含めて20.315%)で課税すると定め、その後段でこう続ける。「上場株式等に係る譲渡所得等の金額の計算上生じた損失の金額があるときは、同法その他所得税に関する法令の規定の適用については、当該損失の金額は生じなかつたものとみなす」。生じなかったことにされる——つまり、給与所得や不動産所得の黒字から差し引くことはできない。第37条の10第1項も、一般株式等(上場株式等以外の株式等)について同じ後段を置いている。
所得税法の側から見ても同じである。同法第69条第1項は損益通算に回せる損失を不動産所得・事業所得・山林所得・譲渡所得に限っており、さらに措置法第8条の4第3項第2号が、上場株式等に係る配当所得等の金額をその「各種所得の金額」から除外する読替えを置いている。上場株式等の箱は、外との出入りが二重に塞がれている。
第37条の12の2は、この塞がれた壁に一か所だけ開けられた通路である。同条第1項は「第三十七条の十一第一項後段の規定にかかわらず」と明示したうえで、上場株式等に係る譲渡損失を、同じ年の上場株式等に係る配当所得等の金額を限度として控除すると定める。譲渡の損と配当の利益という、本来は別勘定のものをつなぐための特例だと読める。
整理すると、箱は4つある。
① 上場株式等の箱
公募の不動産ST(受益証券発行信託型)、上場株式、公募株式投信、J-REITの投資口、特定公社債など
箱の中では通算できる
措置法第37条の11第1項・第2項第3号の2。ST同士はもちろん、上場株式やJ-REITの売却益とも相殺できる
② 一般株式等の箱
非上場株式、そして私募で組成されたSTの受益権
①とは通算できない
措置法第37条の10第1項。上場株式等以外の株式等がここに入る。国税庁も「繰り越された上場株式等に係る譲渡損失の金額は、一般株式等に係る譲渡所得等の金額から控除することはできません」と明記
③ 総合課税の所得
給与、事業、不動産、公的年金など
①とは通算できない
措置法第37条の11第1項後段が、上場株式等に係る譲渡所得等の損失は「生じなかつたものとみなす」と定める。給与所得や不動産所得の黒字からST の売却損を引くことはできない
④ 雑所得
GK-TK型ST(匿名組合出資持分)の利益の分配
①とも③とも通算できない
そもそも株式等ではない。合同会社LST1号の有価証券届出書は「原則として、雑所得に分類され他の所得と総合して課税標準を構成し……確定申告をする必要があります」と記載。所得税法第69条第1項は雑所得の損失を通算の対象にしていない
同じ「不動産ST」「デジタル証券」という呼び名でも、器が違えば箱が変わる。公募の受益証券発行信託型は①に入るが、GK-TK型は④で、STの売却損とぶつけることはできない。器の違いそのものは別稿『不動産STOのスキーム比較』と『匿名組合型(GK-TK)の会計・税務』で扱った。自分が買う銘柄がどちらかは、目論見書・有価証券届出書の「課税上の取扱い」欄を読めば分かる——①なら「上場株式等に係る譲渡所得等」「申告分離課税」という語が出てくる。
表: 損と利益をぶつけられる範囲。左から順に、箱の名前/中身/①上場株式等の箱と通算できるか/根拠と読む。要点は「①の壁は高い」ということ——①の中では自由に相殺できるが、①と②③④の間には壁があり、またげない。出所は租税特別措置法第37条の10第1項・第37条の11第1項および第2項第3号の2(e-Gov法令検索・2026年8月24日確認)、国税庁タックスアンサーNo.1474(令和7年4月1日現在法令等)、EDINET提出の有価証券届出書 合同会社LST1号 2026年7月16日提出(S100YR0W)。本表は制度の整理であり、特定銘柄・特定スキームの推奨や勧誘ではない。STで損が生まれる4つの場面——売却だけではない
株式なら「売って損が出た」で話は終わる。不動産STはそう単純ではない。売却のほかに、償還と、元本の払戻しという入口があるからだ。
重要なのは、措置法第37条の12の2第2項が、損益通算・繰越控除の対象となる譲渡を第1号から第11号まで限定列挙していることである。第1号が「金融商品取引業者……への売委託により行う上場株式等の譲渡」、第2号が「金融商品取引業者に対する上場株式等の譲渡」。そして第4号に「第三十七条の十第三項又は第三十七条の十一第四項各号に規定する事由による上場株式等の譲渡」とある。
この第37条の11第4項が、不動産STにとっての要になる。同項は、投資信託等(投資信託または特定受益証券発行信託)の受益権で上場株式等に該当するものについて、第1号「その投資信託等の終了……又は一部の解約により交付を受ける金銭の額及び金銭以外の資産の価額の合計額」、第3号「その特定受益証券発行信託の元本の払戻し……により交付を受ける金銭の額」を、上場株式等に係る譲渡所得等の収入金額とみなすと定めている。
つまり、償還で受け取る金銭も、保有中の元本払戻しで受け取る金銭も、条文の上では「譲渡」として扱われ、そこで生じた損は第2項第4号を経由して損益通算・繰越控除の対象に入る。不動産STは満期まで持ち切ることが多く、しかも利益超過分配を行う銘柄が珍しくないから、この2つは実務上むしろ主役に近い。
逆に、対象から外れるものもある。国税庁はタックスアンサーNo.1474で「上場株式等の譲渡であっても、いわゆる相対取引などにより生じた譲渡損失については、損益通算及び繰越控除はできません」と注記している。第2項は限定列挙なので、証券会社を通さない当事者間の直接譲渡はどの号にも当たらない。
場面① STARTで売る対象になる
STARTでの売却は、取引参加者である証券会社への売委託によって行われる。措置法第37条の12の2第2項第1号(金融商品取引業者への売委託により行う上場株式等の譲渡)に当たる。ここで出た損は、損益通算にも繰越控除にも使える。
場面② 上場していない銘柄を取扱業者経由で売る対象になる
STARTで扱われているのは7銘柄だけで、大半の不動産STは上場していない。上場していない銘柄は取扱金融商品取引業者が売り手と買い手を突き合わせる形で売買されるが、証券会社への売委託(第1号)または証券会社に対する譲渡(第2号)に当たる限り、やはり対象になる。
場面③ 償還される対象になる
不動産STの多くは、途中で売らずに満期の償還まで持つ。措置法第37条の11第4項第1号は、投資信託等の終了または一部の解約により交付を受ける金銭の額を「上場株式等に係る譲渡所得等に係る収入金額とみなす」と定める。そして第37条の12の2第2項第4号が「第37条の11第4項各号に規定する事由による上場株式等の譲渡」を対象に挙げている。つまり償還損も、売却損とまったく同じ扱いで通算・繰越ができる。
場面④ 元本の払戻し(利益超過分配)を受ける対象になる
2026年4月1日以後、利益超過分配は元本の払戻し=みなし譲渡として扱われる(措置法第37条の11第4項第3号)。これも第2項第4号に含まれるので、ここで出た「みなし譲渡損」も対象である。売っていないのに譲渡損が出るのがこの場面の特徴で、実際にそうなっている例を次節で見る。
対象にならないもの相対取引・NISA
国税庁は「上場株式等の譲渡であっても、いわゆる相対取引などにより生じた譲渡損失については、損益通算及び繰越控除はできません」と注記している。措置法第37条の12の2第2項は対象となる譲渡を第1号から第11号まで限定列挙しており、証券会社を通さない当事者間の直接の譲渡はどの号にも当たらない。なお不動産STはNISAの対象外なので(別稿『特定口座で不動産STは買えるのか』)、NISAに関する注記はSTには関係しない。
図: 不動産STで譲渡損が生まれる場面と、それが損益通算・繰越控除の対象になるか。上から順に、①市場で売る ②市場外で証券会社を通して売る ③満期に償還される ④保有中に元本が払い戻される、そして最後が対象外の類型である。③と④が株式にはない不動産ST特有の入口で、条文上はどちらも「譲渡」として扱われる。「相対取引」とは、証券会社を介さず当事者どうしが直接売り買いすることをいう。出所は租税特別措置法第37条の11第4項第1号・第3号、第37条の12の2第2項第1号・第2号・第4号(e-Gov法令検索・2026年8月24日確認)、国税庁タックスアンサーNo.1474(令和7年4月1日現在法令等)注2。本図は制度の整理であり、特定の取引方法の推奨や税務助言ではない。分配金と相殺するには、申告書に載せる——STには総合課税の道がない
譲渡損を分配金とぶつけるには、その分配金が申告書に載っていなければならない。ここで、不動産ST特有の作りが効いてくる。
措置法第8条の4第1項は、上場株式等の配当等について申告分離課税を定め、その第4号に「特定受益証券発行信託(その信託契約の締結時において委託者が取得する受益権の募集が……公募により行われたものに限る。)の収益の分配」を挙げる。公募の不動産STの分配金はここに入る。
ところが同条第2項は、第1項のうち「第一号から第三号までに掲げるもの」——上場株式の配当、公募の証券投資信託の収益の分配、特定投資法人(J-REITなど)の投資口の配当等——を「特定上場株式等の配当等」と呼び、これらについてだけ「適用を受けようとする旨の記載のある確定申告書を提出した場合に限り適用する」と選択制にしている。第4号のSTは、この選択制の外にある。
帰結は二つある。第一に、STの分配金を確定申告に載せる場合、申告分離課税が自動的に適用される。上場株式の配当のように総合課税を選んで配当控除を受ける、という道はない(そもそも所得税法第92条の配当控除は、剰余金の配当・利益の配当・剰余金の分配・金銭の分配・証券投資信託の収益の分配に対象が限られており、特定受益証券発行信託の収益の分配は入っていない)。第二に、申告分離である以上、上場株式等に係る配当所得等として第37条の12の2第1項の通算対象になる。
もうひとつの道が、措置法第8条の5第1項第5号による申告不要である。源泉徴収された20.315%で課税関係を終わらせる選択で、同条第4項により「一回に支払を受けるべき……配当等の額ごと」に行える。ただし申告書に載らない以上、譲渡損とぶつける機会もない。
発行体の法定開示も、この2択をそのまま書いている。
道A 申告不要
源泉徴収された20.315%で課税関係が終わる。措置法第8条の5第1項第5号(公募の特定受益証券発行信託の収益の分配)。同条第4項により、この選択は「一回に支払を受けるべき配当等の額ごと」に行える
通算できない
申告書に載らないので、譲渡損とぶつける機会がない
道B 申告分離課税
確定申告で配当所得として申告分離。措置法第8条の4第1項第4号。税率は同じ20.315%
通算できる
措置法第37条の12の2第1項により、その年の上場株式等に係る譲渡損失を、上場株式等に係る配当所得等の金額を限度として控除する
(総合課税)
STには選択肢がない。措置法第8条の4第2項が「特定上場株式等の配当等」=同条第1項第1号から第3号までに限って申告分離を選択制にしているのに対し、第4号(特定受益証券発行信託)はその外にあり、第1項が無条件に適用される
—
所得税法第92条の配当控除も、対象が剰余金の配当・利益の配当・剰余金の分配・金銭の分配・証券投資信託の収益の分配に限られるため及ばない
発行体の法定開示も同じことを書いている。2026年7月24日提出のオルタナ信託の届出書(品川・オフィス&ホテル)と2026年8月3日提出のSMBC信託銀行の届出書(シックスセンシズ京都)は、いずれも「本受益権の収益の分配については、本受益者の選択により、(i)申告不要とすること、又は(ii)確定申告により配当所得として申告分離課税とすることができます」とし、(ii)について「上記の税率が適用されますが、上場株式等の譲渡損失等と損益通算をすることができます」と明記する。2つしか挙げていない——これが上の表の3行目である。
表: 不動産STの分配金をどう申告するかで、譲渡損と相殺できるかが変わる。左から順に、選び方/中身と根拠/譲渡損とぶつけられるか/結果と読む。要点は「損と相殺したいなら、分配金を申告書に載せなければならない」ということ。上場株式の配当やJ-REITの分配金は総合課税を選ぶ道もあるが、STにはその道がない——申告するなら自動的に申告分離になる。出所は租税特別措置法第8条の4第1項第4号・第2項、第8条の5第1項第5号・第4項、第37条の12の2第1項、所得税法第92条第1項(e-Gov法令検索・2026年8月24日確認)、EDINET提出の有価証券届出書2件(S100YS50・S100YTNX)。本表は制度の整理であり、有利不利の判断を示すものでも、特定銘柄の推奨・勧誘でもない。個別の申告方法は税理士等に確認されたい。実例——元本の払戻しで、売っていないのに譲渡損が出ている
抽象論を離れて、実際に公表された数字を見たい。
三菱UFJ信託銀行は2026年6月30日、KDX名古屋栄ビル信託の受益者に対して「分配金の税務上の取扱いに関するご説明」を出している。2026年4月30日の信託計算末日で決定した1口当たり2,000円の分配のうち、留保金を原資とする分配が1,219円、元本の払戻しが781円であること。元本の払戻しは配当所得ではないため源泉徴収も配当控除も対象外であること。そして「税法では『元本の払戻し』は、一般受益者の皆様が保有する信託一般受益権(セキュリティ・トークン)の一部を譲渡したものとみなされ、税務上の『みなし譲渡損益』が発生します」ということ。
同書は計算例まで示している。1口100,000円で100口買っていた場合、収入とみなされる金額は781円×100口=78,100円。差し引く取得価額は(100,000円×100口)×0.008=80,000円。この0.008が「元本減少割合」で、所得税法施行令第114条第4項により小数点第3位未満を切り上げて算出される。結果は「78,100円-80,000円=▲1,900円(マイナスの場合はみなし譲渡損)」。
同じ分配で、配当所得側には121,900円が立ち、源泉徴収がかかる。譲渡側には1,900円の損が立つ。売却も償還もしていないのに、である。この2つを相殺するのが本稿の損益通算であり、源泉徴収ありの特定口座なら申告なしで処理される一方、それ以外の口座では確定申告が必要になる。同書も「特定口座の……以外の口座の受益者様および一般口座の受益者様は、『みなし譲渡損益』が発生するため確定申告が必要となります」と明記している。
もう一点、この計算例には見落としやすい含意がある。損になるか益になるかは、いくらで買ったかで決まる。
ケース
1口当たり取得価額(円)
収入とみなされる額(円)
差し引く取得価額(円)
みなし譲渡損益
受託者の計算例(1口100,000円で100口)
100,000
781
80,000
▲1,900円(100口合計)
同じ人を1口あたりで見ると
100,000
781
800
▲19円/口
当サイト試算: 2026年8月21日の基準価格93,000円で買っていた場合
93,000
781
744
+37円/口
当サイト試算: 80,000円で買っていた場合
80,000
781
640
+141円/口
1行目は受託者自身が書いた計算例である。三菱UFJ信託銀行が2026年6月30日に受益者へ出した「分配金の税務上の取扱いに関するご説明」(KDX名古屋栄ビル信託)は、1口2,000円の分配のうち1,219円が留保金を原資とする配当所得、781円が元本の払戻しであるとしたうえで、元本減少割合0.008(所得税法施行令第114条第4項。小数点第3位未満は切上げ)を用いて、「みなし譲渡損益=78,100円-80,000円=▲1,900円(マイナスの場合はみなし譲渡損)」と示している。同じ分配で、配当所得121,900円には源泉徴収がかかり、同時に1,900円のみなし譲渡損が出ている——この2つを相殺するのが、本稿の損益通算である。3行目・4行目は当サイトが同じ式に別の取得価額を当てはめた試算で、実際の値ではない(購入時の手数料等は取得価額に加わるため考慮していない)。切上げのしくみ上、取得価額が元本と同額(=発行価格で買って払戻しを受けていない)なら、781円÷100,000円=0.00781が0.008に切り上がる分だけ、必ず小さな損になる。逆に元本より安く買っていれば益になる。
表: 元本の払戻しで生じる「みなし譲渡損益」が、いくらで買ったかによって符号まで変わること。左から順に、ケース/1口いくらで買ったか/払い戻された金額(収入とみなされる)/差し引ける取得価額(取得価額×元本減少割合)/差引きと読む。「元本減少割合」とは、払戻し直前の元本のうち今回減った元本が占める割合で、受託者が個人受益者と証券会社の営業所長の双方に通知することが法定されている(所得税法施行令第114条第5項、租税特別措置法施行令第25条の10の2第26項第4号)。仕組みは別稿『「元本減少割合」とは何か——取得価額調整と確定申告の要点』を参照されたい。出所は三菱UFJ信託銀行「分配金の税務上の取扱いに関するご説明」(2026年6月30日)、所得税法施行令第114条第4項・第5項、租税特別措置法第37条の11第4項第3号、基準価格はODX「銘柄一覧」(最終更新2026年8月21日19時00分23秒・2026年8月24日確認)。3行目・4行目は当サイトの試算であり、受託者・発行者・ODXの公表値ではない。本表は計算方法の説明であり、特定銘柄の推奨・勧誘や税務助言ではない。「戻ってきた金額」と税務上の損益は一致しない
前節の裏返しとして、償還の年に注意すべきことがある。元本の払戻しを受けるたびに取得価額は下がっていくので(所得税法施行令第114条第4項。1口当たりの新しい取得価額=従前の取得価額-従前の取得価額×元本減少割合)、償還時に「戻ってきた金額」と「最初に払った金額」を並べても、税務上の譲渡損益は出てこない。
実際の償還事例で確かめておきたい。いちご株式会社は2025年8月29日、いちご・レジデンス・トークン-麻布・白金・日本橋-の早期償還を公表し、「1口当たり発行価格:500,000円」に対して「1口当たり元本償還および分配金額総額(運用期間):616,864円(税引き前)」、うち償還期分が575,991円だったと発表している。運用期間約2.6年、総合利回りは年8.9%(税引前)で当初想定4.0%を上回ったという。三井物産デジタル・アセットマネジメントも2025年2月3日、運用中のデジタル証券ファンドの早期償還について1口当たり累計分配570,622円(税引前)、運用期間約2.6年、総リターン年5.5%(税引前)と発表している。国内の不動産STとして初期の償還事例である。
ただし、これらの数字は「元本償還および分配金額の合計」であって、譲渡損益ではない。合計額のうち配当所得として課税された部分と、元本の払戻し・償還として譲渡の枠に入る部分は分けて計算されるし、その譲渡の枠でも、差し引く取得価額は払戻しのたびに調整された後の金額である。当サイトは、これらの公表値から各受益者の譲渡損益を算出できる一次資料を確認できていないため、算出しない。手元の年間取引報告書と受託者からの通知が、その計算の起点になる。
他方、現時点で市場に出ている銘柄の値段は、発行価格を下回っている。ODXの銘柄一覧(最終更新2026年8月21日19時00分23秒・当サイト2026年8月24日確認)によれば、STARTで取り扱われる不動産ST7銘柄の基準価格は75,000円から99,640円で、7銘柄とも発行価格1口100,000円を下回る。もっとも、この差がそのまま譲渡損になるわけではない点は前節のとおりで、値下がりと元本の払戻しは分けて数える必要がある。市場の薄さも含めた読み方は別稿『不動産STのリスク——13営業日で78%は1口も動かない市場と、元本が戻らない経路』で扱った。
引き切れない分は3年繰り越せる——ただし毎年出し続けること
その年の配当所得等より損のほうが大きければ、残りは翌年以後3年間持ち越せる。措置法第37条の12の2第5項は「その年の前年以前三年内の各年において生じた上場株式等に係る譲渡損失の金額」を、その年の上場株式等に係る譲渡所得等の金額および上場株式等に係る配当所得等の金額を限度として控除すると定める。譲渡益と配当の両方から引ける点は、覚えておくとよい。
手続きの要件は厳しめである。損益通算については、適用を受けようとする旨を確定申告書に記載し、明細書等を添付すること(同条第3項)。繰越控除については、損が生じた年分の申告に明細書等を添付し、「かつ、その後において連続して確定申告書を提出している場合」に限られる(同条第7項)。国税庁も手続き欄で「所得税及び復興特別所得税の確定申告書付表(上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除用)」と「株式等に係る譲渡所得等の金額の計算明細書」の添付を求め、「上場株式等の譲渡がなかった年も、譲渡損失を翌年へ繰り越すための申告が必要です」と注記している。
不動産STは売買の機会そのものが少ない。STARTの7銘柄でも1口も約定しない日が続き、上場していない銘柄は取扱業者が定める期間にしか売れない。「今年は何も動かさなかったから申告しなくてよい」と考えて1年空けると、そこで繰越が切れる——この制度と、この商品の性質は相性が悪い。
動きを1枚で見ておきたい。
年
その年の譲渡損益
その年の分配金
起きること
繰越残高
1年目
譲渡損 ▲300,000円
分配金 100,000円
分配金100,000円を全額相殺(措置法第37条の12の2第1項)。分配金への課税はゼロになり、源泉徴収された分は申告により精算される
翌年へ 200,000円
2年目
売買なし
分配金 120,000円
繰越分から120,000円を控除(同条第5項)。売買がなくても、繰越を続けるには申告が必要
翌年へ 80,000円
3年目
譲渡益 50,000円
分配金 120,000円
残り80,000円を、譲渡所得等と配当所得等から控除
翌年へ 0円
4年目
—
—
繰り越せるのは「前年以前三年内」まで。3年で使い切れなかった分は、そこで消える
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数値は制度の動きを示すための設例で、実在の銘柄の実績ではない。手続きの側で落とし穴になるのは2年目である。国税庁は繰越控除の手続きとして、損が出た年に付表と明細書を付けた確定申告書を出したうえで、「その後の年において連続して……付表の添付のある確定申告書を提出すること」を求め、さらに「上場株式等の譲渡がなかった年も、譲渡損失を翌年へ繰り越すための申告が必要です」と注記している。措置法第37条の12の2第7項も「その後において連続して確定申告書を提出している場合」に限って第5項を適用すると定める。1年でも申告が途切れると、そこで繰越は終わる。
表: 引き切れなかった損を3年持ち越すときの動き(設例)。左から順に、年/その年の譲渡損益/その年の分配金/その年に起きること/翌年へ繰り越す残高と読む。要点は2つ——①繰越分は「上場株式等の譲渡所得等」と「上場株式等の配当所得等」の両方から引ける(措置法第37条の12の2第5項) ②売買がなかった年も申告を続けないと繰越が切れる(同条第7項)。出所は租税特別措置法第37条の12の2第1項・第3項・第5項・第7項(e-Gov法令検索・2026年8月24日確認)、国税庁タックスアンサーNo.1474(令和7年4月1日現在法令等)「手続き」欄。設例の金額は当サイトが説明のために置いたものであり、実績値でも予想でもない。個別の申告は税理士等に確認されたい。住民税は、所得税の申告に自動でついてくる
住民税にも同じ制度がある。地方税法附則第35条の2の6は「上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除」を道府県民税・市町村民税それぞれについて定め、第4項・第11項で「前年前三年内の各年に生じた」譲渡損失の繰越控除を置く。対象となる譲渡の範囲は同条第2項・第9項が措置法第37条の12の2第2項第1号から第10号までを引いており、償還や元本払戻しによる譲渡(同項第4号)はここに含まれる。
ただし、住民税だけを別に組み立てることはできない。附則第35条の2の6は、いずれも「その年分の所得税について……確定申告書を提出した場合」「租税特別措置法第37条の12の2第……項の規定の適用があるときに限り」と、所得税での適用を条件にしている。分配金の側も同じで、地方税法第32条第12項・第13項(道府県民税。市町村民税は第313条の同項)は、特定配当等に係る所得を総所得金額から除外したうえで、前年分の所得税の確定申告書にその明細の記載があるときは除外しない、と定める。所得税で申告不要にすれば住民税も源泉分離で終わり、所得税で申告すれば住民税も申告分離になる。現行の条文の作りでは、所得税と住民税で別々の課税方式を選ぶ余地はない。
税率の内訳も条文で確認できる。地方税法附則第33条の2第1項は上場株式等に係る課税配当所得等の金額の100分の2(指定都市の区域内に住所を有する場合は100分の1)を道府県民税とし、同条第5項が100分の3(指定都市の場合は100分の4)を市町村民税とする。合わせて5%——発行体の届出書が書く「20.315%(15%の所得税、復興特別所得税(所得税額の2.1%)及び5%の地方税の合計)」の、地方税の部分である。
なお、2026年7月・8月に提出された品川・オフィス&ホテルとシックスセンシズ京都の届出書はいずれも注記で、2027年以後当分の間、所得税額に1%を乗じる防衛特別所得税が導入され、同時に復興特別所得税の税率が2.1%から1.1%へ引き下げられて課税期間が2047年までとされること、両者の合算税率は現行の2.1%と同じになることを説明している。合計税率の水準そのものは当面変わらない見込みだが、内訳は動く。
確認する7項目と、免責
最後に、買う前・保有中・申告時に確認する項目を1枚にまとめておく。
本稿は、公表された条文(租税特別措置法、同施行令、所得税法、同施行令、地方税法)、国税庁のタックスアンサー、発行体・受託者の法定開示および受益者向け通知に基づく一般的な整理であり、税務助言ではない。取扱いは投資家の属性、口座区分、銘柄の設計、改正の経過措置によって異なる。金額の試算として本文および図中に示したもののうち、当サイトの計算であると明記した部分は説明のための試算であり、発行者・受託者・ODXの公表値ではない。実際の申告の可否・方法・期限は税理士等の専門家および口座を開設している証券会社の案内に従い、投資判断にあたっては各商品の目論見書・契約締結前交付書面を確認してほしい。当サイトは独立・非勧誘の不動産ST記録機関として、公表された制度と一次資料の整理のみを行っており、特定の銘柄・証券会社・スキームの推奨や勧誘は行わない。
① 自分のSTはどの箱か公募の受益証券発行信託型か、GK-TK型か
目論見書・有価証券届出書の「課税上の取扱い」欄を見る。「上場株式等に係る譲渡所得等」「申告分離課税」と書いてあれば①の箱、「雑所得」「累進税率」と書いてあればGK-TK型で、STの損とはぶつけられない。
② 分配金を申告書に載せたか載せないと相殺は始まらない
源泉徴収だけで済ませる(申告不要)と、分配金は申告書に現れず、譲渡損とぶつける機会がない。相殺したいなら確定申告で申告分離を選ぶ。ただし申告すると所得金額が増えるため、扶養の判定や社会保険料に影響しうる。
③ 元本の払戻しの通知を保管したかみなし譲渡損の証拠になる
受託者は元本減少割合を個人受益者に通知しなければならない(所得税法施行令第114条第5項)。三菱UFJ信託銀行の通知書は末尾に「このお知らせは、受益者の皆様が今後本受益権(セキュリティ・トークン)を売却する場合の『取得価額』の証明になります」と書いている。捨てないこと。
④ 口座区分を確かめたか源泉徴収ありの特定口座なら自動
源泉徴収ありの特定口座なら、その口座の中の譲渡損と受け入れた分配金は申告なしで通算される(措置法第37条の11の6第6項・第7項)。ただし分配金の受入れには別途「源泉徴収選択口座内配当等受入開始届出書」が要る。詳しくは別稿『特定口座で不動産STは買えるのか』。
⑤ 口座が複数に分かれていないかまたぐには申告が要る
不動産STは銘柄ごとに取り次げる証券会社が限られるため、複数社に口座が分かれやすい。A社の売却損とB社の分配金をぶつけるには確定申告が必要になる。
⑥ 繰り越すなら毎年出したか1年でも空けると切れる
損が出た年に付表と明細書を添付し、その後は売買がなかった年も含めて連続して申告する(措置法第37条の12の2第7項、国税庁No.1474)。
⑦ 償還の年に何が起きるか把握したか最後の年は金額が大きい
償還は信託の終了により交付を受ける金銭として、譲渡と同じ扱いになる(措置法第37条の11第4項第1号)。それまでの元本払戻しで取得価額が下がっているため、「戻ってきた金額-当初払った金額」と税務上の損益は一致しない。
図: 損益通算・繰越控除まわりで確認する7項目。①が前提の確認、②③が相殺の材料をそろえる話、④⑤が口座の話、⑥が手続きの継続、⑦が最後の年である。出所は租税特別措置法第37条の11第4項第1号・第37条の11の6第6項第7項・第37条の12の2第7項、所得税法施行令第114条第5項(e-Gov法令検索・2026年8月24日確認)、国税庁タックスアンサーNo.1474およびNo.1476、三菱UFJ信託銀行「分配金の税務上の取扱いに関するご説明」(2026年6月30日)、EDINET提出の有価証券届出書(S100YS50・S100YTNX・S100YR0W)。本図は確認手順の整理であり、投資助言・税務助言ではなく、特定銘柄や証券会社の推奨・勧誘でもない。実際の申告は税理士等の専門家に確認されたい。SOURCES / 出所
- 租税特別措置法(昭和32年法律第26号)——第8条の4第1項第4号(公募の特定受益証券発行信託の収益の分配を「上場株式等の配当等」として申告分離課税の対象とする)・同条第2項(申告分離を選択制とする「特定上場株式等の配当等」を第1項第1号から第3号までに限る)・同条第3項第2号(所得税法第69条の適用について上場株式等に係る配当所得等の金額を「各種所得の金額」から除外する読替え)、第8条の5第1項第5号(公募の特定受益証券発行信託の収益の分配についての申告不要)・同条第4項(一回に支払を受けるべき配当等の額ごとに選択できる)、第37条の10第1項(一般株式等に係る譲渡所得等。後段=損失は生じなかつたものとみなす)・同条第2項第5号(特定受益証券発行信託の受益権=株式等)、第37条の11第1項(上場株式等に係る譲渡所得等の15%課税。後段=損失は生じなかつたものとみなす)・同条第2項第3号の2(公募の特定受益証券発行信託の受益権を上場株式等とする)・同条第4項第1号(投資信託等の終了または一部の解約により交付を受ける金銭等を譲渡所得等の収入金額とみなす)・同項第3号(特定受益証券発行信託の元本の払戻しにより交付を受ける金銭の額)、第37条の11の6第6項・第7項(源泉徴収選択口座内配当等と譲渡損失の通算・還付)、第37条の12の2(上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除。第1項=配当所得等との通算、第2項第1号・第2号・第4号を含む第1号から第11号までの限定列挙、第3項=申告要件、第5項=前年以前三年内の繰越控除、第7項=連続して確定申告書を提出していることの要件)(e-Gov法令検索・2026年8月24日確認)
- 所得税法(昭和40年法律第33号)——第69条第1項(損益通算の対象となる損失を不動産所得・事業所得・山林所得・譲渡所得の金額の計算上生じたものに限る)、第92条第1項(配当控除。対象を剰余金の配当・利益の配当・剰余金の分配・金銭の分配・証券投資信託の収益の分配に係る配当所得に限る)(e-Gov法令検索・2026年8月24日確認)
- 所得税法施行令(昭和40年政令第96号)——第114条第4項(特定受益証券発行信託の元本の払戻しがあった場合の取得価額の調整と「元本減少割合」の定義。小数点以下3位未満の端数は切上げ)、同条第5項(受託者から払戻しを受けた個人に対する元本減少割合の通知義務)(e-Gov法令検索・2026年8月24日確認)
- 地方税法(昭和25年法律第226号)——第23条第1項第15号イ(「特定配当等」に租税特別措置法第8条の4第1項に規定する上場株式等の配当等を含む)、第32条第12項・第13項(特定配当等に係る所得は総所得金額から除外するが、前年分の所得税に係る確定申告書にその明細の記載があるときは除外しない)・第14項・第15項(特定株式等譲渡所得金額について同旨)、附則第33条の2第1項(上場株式等に係る課税配当所得等の金額の100分の2。指定都市の区域内に住所を有する場合は100分の1)・第5項(市町村民税は100分の3。指定都市の場合は100分の4)・第2項および第6項(「特定上場株式等の配当等」については前年分の所得税で措置法第8条の4第1項の適用を受けた場合に限り適用)、附則第35条の2の6(上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除。第1項・第8項=所得税について確定申告書を提出し措置法第37条の12の2第1項の適用がある場合に限る、第2項・第9項=対象は措置法第37条の12の2第2項第1号から第10号までの譲渡、第4項・第11項=前年前三年内の繰越控除と連続申告要件)(e-Gov法令検索・2026年8月24日確認)
- 国税庁タックスアンサー No.1474 上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除(令和7年4月1日現在法令等)——上場株式等を金融商品取引業者等を通じて譲渡したこと等により生じた譲渡損失は、確定申告により上場株式等に係る配当所得等の金額(申告分離課税を選択したものに限る)と損益通算でき、控除しきれない損失は翌年以後3年間繰越控除できること。「(注1)繰り越された上場株式等に係る譲渡損失の金額は、一般株式等に係る譲渡所得等の金額から控除することはできません」「(注2)上場株式等の譲渡であっても、いわゆる相対取引などにより生じた譲渡損失については、損益通算及び繰越控除はできません」。手続きとして確定申告書付表および株式等に係る譲渡所得等の金額の計算明細書の添付、繰越控除にはその後連続して付表添付の確定申告書を提出すること、「上場株式等の譲渡がなかった年も、譲渡損失を翌年へ繰り越すための申告が必要です」との注記。根拠法令等として措法37の12の2、37の14、37の14の2、措令25の11の2、措規18の14の2を掲げる(2026年8月24日確認)
- 国税庁タックスアンサー No.1476 特定口座制度(令和7年4月1日現在法令等)——源泉徴収口座に受け入れた配当等と譲渡損失の通算、申告・申告不要の選択は口座ごとであること、「源泉徴収口座内で生じた上場株式等に係る譲渡損失の金額を申告する場合には、その源泉徴収口座に受け入れた上場株式等に係る利子等の金額および配当等の金額を申告不要とすることはできない」旨(2026年8月24日確認)
- 三菱UFJ信託銀行株式会社「分配金の税務上の取扱いに関するご説明」(2026年6月30日・受益者向け)——不動産管理処分信託受益権<KDX名古屋栄ビル>信託。2026年4月30日の信託計算末日で決定し2026年6月30日に支払う分配金のうち、留保金を原資とする分配が1口当たり1,219円(配当所得・源泉徴収の対象)、元本の払戻しが1口当たり781円(配当所得ではなく源泉徴収・配当控除の対象外、みなし譲渡損益が発生)であること。元本減少割合0.008(所得税法施行令第114条第4項・第5項、法人税法施行令第119条の9の2。小数点第3位未満切上げ)。計算例「1口あたり100,000円で100口購入していた場合/①収入とみなされる金額=781円×100口=78,100円/②取得価額=(100,000円×100口)×0.008=80,000円/③みなし譲渡損益=78,100円-80,000円=▲1,900円(マイナスの場合はみなし譲渡損)」、取得価額の調整例(1口当たりの新しい取得価額=100,000円-100,000円×0.008=99,200円)、「特定口座の……以外の口座の受益者様および一般口座の受益者様は、『みなし譲渡損益』が発生するため確定申告が必要となります」、「このお知らせは、受益者の皆様が今後本受益権(セキュリティ・トークン)を売却する場合の『取得価額』の証明になります」との記載(2026年8月24日取得)
- 有価証券届出書(内国信託受益証券等)オルタナ信託株式会社・2026年7月24日提出——三井物産グループのデジタル証券〜品川・オフィス&ホテル〜(譲渡制限付)。課税上の取扱い欄に、収益の分配は20.315%(15%の所得税、復興特別所得税(所得税額の2.1%)及び5%の地方税の合計)で源泉徴収及び特別徴収されること、「本受益権の収益の分配については、本受益者の選択により、(i)申告不要とすること、又は(ii)確定申告により配当所得として申告分離課税とすることができます」「(ii)……を選択した場合には、上記の税率が適用されますが、上場株式等の譲渡損失等と損益通算をすることができます」、譲渡損益及び償還損益(元本払戻しによる損益を含む)は原則として上場株式等に係る譲渡所得等として申告分離課税の対象となり特定口座(源泉徴収選択口座)では申告不要の取扱いを受けられること、「なお、本受益権はNISA口座の対象外となります」、および2027年以後の防衛特別所得税の導入と復興特別所得税の税率引下げ(2.1%→1.1%・課税期間2047年まで・合算税率は2.1%)に関する注記(EDINET S100YS50)
- 有価証券届出書(内国信託受益証券等)株式会社SMBC信託銀行・2026年8月3日提出——ウェルス・リアルティ・トークン シックスセンシズ 京都(譲渡制限付)。課税上の取扱い欄に「本受益権の収益の分配については、本受益者の選択により、(i)申告不要とすること、又は(ii)確定申告により配当所得として申告分離課税とすることができます」「(ii)……を選択した場合には、上記の税率が適用されますが、上場株式等の譲渡損失等と損益通算をすることができます」、譲渡損益及び償還損益は原則として上場株式等に係る譲渡所得等として申告分離課税の対象となる旨、NISA口座の対象外である旨、および防衛特別所得税に関する同旨の注記(EDINET S100YTNX)
- 有価証券届出書(内国有価証券投資事業権利等)合同会社LST1号・2026年7月16日提出——ロードスターグループのデジタル証券 横浜伊勢佐木町ホテル(GK-TK型・匿名組合出資持分)。「個人である匿名組合員がその営業者から受ける利益の分配は、原則として、雑所得に分類され他の所得と総合して課税標準を構成し、累進税率が適用されて所得税額が計算され、所得税の申告納付(確定申告)をする必要があります」、契約終了時の返還金額と帳簿価額の差額は原則として雑所得に分類される旨の記載(EDINET S100YR0W)
- いちご株式会社「いちごグループの『デジタル不動産ファンド』を初償還、募集当初想定4.0%を大幅に上回る総合利回り8.9%(年率換算)を達成」(2025年8月29日)——いちご・レジデンス・トークン-麻布・白金・日本橋-(譲渡制限付)。1口当たり発行価格500,000円、1口当たり元本償還および分配の合計額(償還期)575,991円(税引前)、1口当たり元本償還および分配金額総額(運用期間)616,864円(税引前)、運用期間約2.6年、総合利回りは第1期から償還期までの1口当たり元本償還額および分配金額の合計額を当初発行価格で除した額を基に年率換算したもので各受益者が実際に収受した総合利回りとは異なる場合がある旨の注記(2026年8月24日取得)
- 三井物産デジタル・アセットマネジメント株式会社「【総リターンは想定を上回る年5.5%(税引き前)】三井物産デジタル・アセットマネジメント、運用中のデジタル証券ファンドを早期売却し初償還」(2025年2月3日)——1口当たり累計分配570,622円(税引前)、運用期間約2.6年(2026年8月24日確認)
- 大阪デジタルエクスチェンジ株式会社「銘柄一覧」(不動産ST・最終更新2026年8月21日19時00分23秒・当サイト2026年8月24日確認)——STARTで取り扱われる不動産ST7銘柄の基準価格。1A0A KDXSTドーミーイン神戸元町97,280円/1A0C いちごRT芝公園・東新宿他4件76,990円/1A0D いちごRT西麻布・代々木他5件75,000円/1A0F KDXST名古屋栄ビル93,000円/1A0G トーセイST3市ヶ谷96,490円/1A0H いちごRT仲之町・小日向他5件78,000円/1A0J 三井物産G三重イオンタウン鈴鹿99,640円(売買単位はいずれも1)
- 野村證券株式会社「よくある質問|野村の不動産セキュリティ・トークン」——不動産STOの配当金や譲渡・償還損益と上場株式等の譲渡損益等との損益通算について、「特定口座(源泉徴収あり)」「特定口座(源泉徴収なし)」「一般口座(一般扱い)」の3区分で案内し、いずれも損益通算は可能としている(2026年8月24日確認)
- EDINET(金融庁)——本稿で参照した有価証券届出書の閲覧元
本記事は制度・実務の一般的な解説であり、特定銘柄の推奨・投資助言ではありません。個別の税務判断は税理士等の専門家にご確認ください。
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